銀行格付けチェックツールは、銀行が自社をどのように見ているのかのだいたいのイメージをつかんでいただくためのツールです。

すでにご存じの方もいるかと思いますが、銀行は、格付けという方法で、すべての融資先(貸出先)をランクづけしています。いわば通信簿のようなものです。

この格付けが、通信簿以上にやっかいなのは、この格付けのランク(位置づけ)次第で、銀行の自社に対する融資姿勢(引く続き支援していくか、回収方向でいくかなど)や、自社に適用される金利といった重要なことがほとんど決まってしまうということと、何より、借りている企業にはこの通信簿を見せてもらえないということです。

つまり、企業にとっては、銀行が自社のことをどのように見ていて、今後どのように対応しようとしているかがわからないまま、銀行とお付き合いをしなければならないということです。これははっきりいってとても不利な状態です。相手が自社をどのように評価しているかわからないままでは、適切な対応方法が取りにくいからです。

このため、銀行が自社をどのように評価しているか(格付けしているか)を、粗々でも知っておくことはとても重要です。

自社の格付けがある程度上位のランクにあるようであれば、これまで通りのやり方で(現状は)いいですし、逆にもし、格付けが低い状況にありそうならば、これを改善していくことが、今後の銀行とのお付き合いの上で大切になってきます。

今、格付けのランクが低くても、それが改善していけば、銀行の対応は明らかによくなっていきますし、現状、格付けがいいランクでも、今後、格付けが下がってしまえば、これまで通りの対応をしてくれなくなります。つまり、格付けの低いであろう企業は、格付けを上げる努力をして、格付けが高いであろう企業は、現在の格付けを下げないように努力することで、銀行との円滑なお付き合いが可能となってくるのです。

こうしたことから、現在の自社のだいたいの格付けの位置づけを知り、それを改善・維持する対策を取っていくことがとても重要になってきます。

ここで注意が必要なのは、銀行がこの格付けをする頻度です。銀行によって多少の違いはありますが、多くて年2回、通常は年1回しか格付けの更新をしません。そのため、銀行格付けのタイミングをにらんで、格付け対策を実施していくことがポイントになります。

最後に余談ですが、なぜ、銀行がこれほどまでに格付けを重視するのかをお話しいたします。

どこの企業にとっても、損失を出すことは極力避けなければなりませんが、銀行にとっての損失は、貸したお金がちゃんと回収できないときです(いわゆる貸倒れです)。

このため、貸したお金がちゃんと回収できるのかということが、銀行にとっての最大の関心事になります。

銀行の格付けシステムでは、貸したお金(融資)がちゃんと回収できるかどうかのリスクに応じて格付けを計算・算定しています。このため、格付けシステムを使うことで、銀行の最大の関心事である回収可能性についての粗々の評価を持つことができるようになるので、銀行は格付けを重視するのです。

格付けの結果が低ければ、それは、今後、貸したお金が回収できなくなる(貸倒れる)可能性がある融資先ということを(格付けシステム上では)意味しており、銀行のその後の融資姿勢に影響を与えることになります。