損益計算書を作成する際に、従来は営業外収益に計上されていたものを売上高として計上することにより、粗利や営業利益を高く見せることができます。また、会計的に認められた処理方法の中で、より格付の観点から有利な会計処理へ変更することにより、例えば営業利益を高く見せることができたりします。

このような操作は上場会社では会計監査があるため行えないのですが、監査を受けてない非上場会社などでは有効な場合があります。

以下に何点事例を挙げます。

  • スクラップ売却収入がある場合:

    製造業の場合、切削加工やプレス加工といった加工をする過程で、大量のスクラップ(金属屑)が継続的に発生します。このスクラップは専門業者にまとめて買い取ってもらうのですが、そうしたスクラップ売却収入は、営業外収益の「雑収入」として計上されていることが多いようです。

    このスクラップ売却収入は、仕入れた原材料に対応して表示する意味からも、また、毎月継続的に発生する取引という意味からも、「売上高」として計上することが可能であり、この結果、売上高が増加します。

  • 中古品の売却収入がある場合:

    レンタル業やパチンコ業などでは、それまで本業で使っていたもの(レンタル品やパチンコ台等)が古くなった場合、中古品として外部に売却する場合があります。こうした入れ替えが割と頻繁に行われている場合には、その売却収入を営業外収益の「雑収入」から、「売上高」として計上しなおすことで、売上高が増加します。

  • 家賃収入がある場合:

    本業が不動産賃貸業でない会社でも、自社ビルにテナントを入れて貸しているような場合、家賃収入があがります。こうした家賃収入については、一般的には、営業外収益の「雑収入」で計上している場合が多いようですが、これを「売上高」として計上することで、売上高が増加します。

    こうした家賃収入の金額が少ない場合にはあまり効果はありませんが、比較的多額になる場合は検討してみるのもいいと思います(その場合、定款や登記簿謄本の「会社の目的」に「不動産賃貸業」を加えておけば、会社の事業であることが明確になります)。

  • 貸倒引当金: 

    貸倒引当金は、売掛金や受取手形、貸付金といった会社が保有する債権が、今後回収できなくなるリスクを想定して前もって一定金額を引き当てておくものです。この貸倒引当金の計上方法には、差額補充法と洗替法の2つの方法があります。会計上の話になるので、詳細は割愛しますが、この計上方法を洗替法で行っている会社は、差額補充法に変更することで、営業利益が増えることになります。

  • 特別償却・圧縮記帳: 

    特別償却も圧縮記帳も、どちらも税務上、一定の場合に認められる節税制度のことであり、その処理方法にはどちらも複数の方法が認められています。こちらも詳細は割愛しますが、もし、特別償却を行っていて、その処理方法に通常方式もしくは準備金方式を採用している場合、これを剰余金処分方式に変更することで、特別償却分、営業利益が増加することになります。

    同様に、圧縮記帳を行っている場合で、その処理方法について直接減額方式を採用している場合には、これを積立金方式に変更することで、圧縮記帳分、営業利益が増加することになります。

いずれの方法も、かなり会計・税務的な話になり、ちょっと取っ付きにくいかと思いますが、効果は期待できますので、是非、顧問税理士さんにご相談してみてください。